今週の気になる新聞記事として、日経ヴェリタス12面「アジア富裕層300万人に 昨年25%増え欧州に並ぶ、インド・中国急増」を挙げたい。
日経ヴェリタスによると、「日本を含むアジア・太平洋地域の富裕層人口は2009年、300万人と前年より25.8%増え、欧州全体と肩を並べた」という。
ここでいう富裕層の定義とは、住居や耐久消費財などを除き100万ドル以上の投資可能資産を保有している人を指す。アジアにおける内訳は、日本が165万人(54.6%)、中国が48万人、豪州が17万人、韓国とインドがそれぞれ13万人とのこと。前年比の増加率ではインドが50.9%と勢いがある。ちなみに、日本は対前年比20.8%増、中国は31%増とのことである。
今回の富裕層増加理由は、株式や不動産による値上がり益部分が大きい。それにしても新興国の勢いは止まることがなさそうなのがこうした富裕層データからもわかる。
まだまだ日本の富裕層割合は世界の中で見れば多いものの、今後の新興国の成長によっては中国やインドといった国における富裕層数が日本を上回る可能性がある。
金融機関を中心に、富裕層を取り込むビジネスはまだまだこれから活発化しそうであり、よりニーズに合った提案力が求められることとなるであろう。
ちなみに、記事によると、日本の富裕層は地理的に資産分散する傾向がみられるのに対し、中国やインドでは自国資産を選好する傾向が強いという。こうした点からも、経済を軸に見た場合の新興国の強さ、自身の表れがみてとれる。
海外資産に目を向けていくことは避けられないとはいえるものの、自国への投資もある程度考えたいところである。分かりきったことではあるが、日本の技術力を生かす点や少子化対策による人口増加策など官民が一体となって取り組み、日本への投資も魅力あるようにすることが必須の課題であり避けられない問題であろう。
執筆者:伊藤 亮太(ファイナンシャルプランナー)
スキラージャパン株式会社(http://www.skirr-jp.com)
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