今週の気になる新聞記事として、日経ヴェリタス57面「日本の投信、気になる短期志向」を挙げたい。
投資信託を購入する場合、リターンを高めるのには長期投資が有効とされる。注意しなければいけないのは、手数料部分である。投資信託では、主に手数料として販売手数料、信託報酬がある(その他信託財産留保額など)。販売手数料は販売を行う金融機関に対して支払う手数料であり、信託報酬は投資信託を運用するうえでかかる管理コストなどの費用である。
こうしたコストは、運用リターンに大きく差をつける理由の主な要因といわれているが、こうしたコストは支払うのはやむを得ない。なぜならば、投資信託の運営にはファンドマネージャーといった運用のプロなど様々な方が携わるためである。
しかしながら、削減できるコストもある。例えば販売手数料である。同じ投資信託の販売であっても、金融機関によってはノーロード(販売手数料無料)のところもあれば1.05~3.15%(税込)程度の手数料を取る金融機関もある。リターンを少しでも高めたいのであれば、販売手数料が低めといえるネット証券で購入することもよいであろう。
もちろん、しっかりしたコンサルティングを受けたうえで購入したい方にとっては、販売手数料を支払う価値はあるといえるであろうから、私は個人的にはそうした購入方法も一理あると考える。
今回の記事で言いたいことは、結局のところ、こうした手数料を支払っているにもかかわらず、短期で投資信託を解約する人が多いことである。日経ヴェリタスによれば、『日本の解約・償還率は07年の30.7%から08年に22.1%に低下したものの、09年は32.3%と約5年前の水準に戻った』そうである。販売手数料は購入時のみかかるものである。何度も解約して新しい投資信託に乗り換えるようでは、何度も販売手数料がかかることになり、投資家にとって損である。
投資の効率性を考えると、特に新興国など長期で見て経済成長の恩恵を受けそうなパターンの場合、短期ではなく長期で持たれたほうがよいと思うがいかがであろうか。
執筆者:伊藤 亮太(ファイナンシャルプランナー)
スキラージャパン株式会社
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