今週の気になる新聞記事として、ニッキン1面『「0.5%未満」の貸出急増 金融緩和で金利低下続く 収益への影響懸念』を挙げたい。
まずは要旨を記載する。
『国内銀行の貸し出しで、「0.5%未満」の低金利が急増している。銀行の貸出残高は企業の資金需要低迷を背景に減少しているものの、「0.5%未満」の貸し出しは増加傾向に。
銀行の貸出金利全体に占める金利「0.5%未満」の割合は7%に上昇。しかも「1%未満」でみると25%を占める状況になっている。日本銀行が、8月末に金融緩和強化を行った結果、市場金利は一段と低下。当面は低利貸出の増加が続く見通しで、銀行収益への影響が懸念される。』
日銀の金融緩和により、市場金利は低下している。その結果、銀行の収益にも大きく影響を与えそうである。
市場金利の低下は、企業にとってトータルの返済額が減少することとなるため、プラスの側面もある。また、私たちにとっても、住宅ローン金利(変動金利)の低下がもたらす恩恵は大きいといえる。
しかしすべての企業、家計が恩恵を受けるわけではない。金融機関は信用リスクが低い優良企業や地方公共団体への貸し出しを増加させている模様であり、真に必要としている中小企業などへの融資が増加しているとは限らない。また、金融機関も貸出しによる利ザヤが大きく稼げない状況にもなっているため、収益への影響が懸念される。家計にとっても、預金金利は低下することでむしろマイナスの恩恵を被る可能性もある。
まだまだ平常時に戻れるような状況ではなく、金融機関にとっても厳しい競争が続く中、更なる収益の多様化が求められよう。
今後の国内銀行の戦略に注目したい。
執筆者:伊藤 亮太(ファイナンシャルプランナー)
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